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ライソゾーム病に関して

ニーマンピック病C型

1.概要、欠損蛋白質と遺伝子

本疾患の原因は膜蛋白質であるNPC1の欠損またはエンドゾームでNPC1と共存する分泌性蛋白質であるNPC2の欠損により、リソソーム内に遊離型コレステロール、糖脂質が蓄積する疾患である。CrockerとFarber(1958)は、骨髄の泡沫細胞と組織のスフィンゴミエリンの蓄積によってニーマン・ピック病の診断を行い、その後Crocker(1961)はニーマン・ピック病をAからDの4型の分類した。D型はC型に類似しているがカナダのNova Scotia地方で見られる患者とした。1966年BradyらがA型とB型で酸性スフィンゴミエリナーゼの欠損によることを明らかにしたが、C型、D型ではこの酵素欠損は見られなかった。1984年Pentchevらはモデルマウス細胞でのコレステロールエステル化障害を見出し、その後、この疾患ではLDL由来コレステロールの細胞内輸送に欠陥があることが明らかになった。また、1994年Steinbergらは細胞の相補試験の結果から2つの原因遺伝子があることを明らかにした。1997年にNPC1遺伝子が単離され、ニーマン・ピック病C型およびD型の原因遺伝子であることが明らかにされ、その後2000年NPC2(HE1)遺伝子がNPC2の原因遺伝子として同定された。

2.遺伝形式

NPC1遺伝子は染色体18番、NPC2遺伝子は染色体14番にあり、常染色体劣性遺伝形式を示す。

3.人種差、発生頻度

発症に人種差はなく、欧米では12万人に1人の頻度と考えられている。日本人の頻度は明らかではないが過去30年間(出生約40万)に山陰では3家系4例が診断されており、欧米の頻度とほぼ同じと考えられる。日本(年間出生110万)で、毎年10人弱が発病している可能性ある。C型はA型・B型より頻度が高いと考えられており、過去30年間の山陰のA型/B型の症例は1家系1名のみである。

4.症状

典型例は幼児期に発達の遅滞、失調で発病し、カタプレキシー(笑うと力が抜ける)が見られ、垂直方向の眼球運動が障害される。肝脾腫は乳児期に気づかれることが多いがその後目立たなくなることもあり、また肝脾腫を認めない場合もある。発症後1-2年でジストニアや痙性麻痺によって、歩行が困難になり、その後構音障害、嚥下障害が出現し、早期に径管栄養が必要になる。
小学校高学年〜中学で知的退行、ジストニア、垂直眼球運動障害で発病する場合、20歳前後に精神症状、知的退行、垂直眼球運動障害で発病する場合もある。年長で発症する場合、肝脾腫はない場合も多い。また、立位で移動が出来ているような時期から、講音障害、嚥下障害が出現し、体重増加が不良になる場合が多い。
新生児期肝内胆汁うっ滞症はC型の約半数に見られ、アメリカではα1アンチトリプシン欠損症に次ぐ乳児期の遺伝性肝障害の原因疾患とされている。また、10%の患者では、新生児期〜乳児期の進行性の肝障害によって肝不全となる場合がある。明らかな肝障害のない新生児黄疸、肝内胆汁うっ滞症はC型を鑑別に入れる必要がある。

5.診断

骨髄の泡沫細胞の確認。培養線維芽細胞または骨髄の泡沫細胞のフィリピン染色(写真)による遊離型コレステロールの蓄積の確認とNPC1遺伝子変異の同定で行う。
培養線維芽細胞のリソソーム酵素活性では酸性スフィンゴミエリナーゼ活性、グルコセレブロシダーゼ活性が軽度に低下することが多い。

6.治療

神経症状の進行を止める有効な治療法はない。
ジストニアと振戦は塩酸トリヘキシフェニジル(アーテン)などが有効のことがある。カタプレキシーや睡眠障害に対して、クロミプラミン(アナフラニール)が有効である。


【骨髄細胞のギムザ染色とフィリピン染色】
(方法はTohyama J, Kato M, Koeda T, Ohno K. Type C Niemann-Pick disease. Detection and quantification of cholesterol-accumulating cells in bone marrow. Brain Dev. 1993 Jul-Aug;15(4):316-7を参照)

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