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ライソゾーム病に関して

ニーマンピック病A、B型

1.概要、欠損酵素

ニーマンピック病A・B型はライソゾーム酵素である酸性スフィンゴミエリナーゼの異常により、その基質であるスフィンゴミエリンやコレステロールが肝臓、脾臓、肺、中枢神経などへ蓄積する疾患です。1914年にドイツの小児科医アルバート・ニーマンがユダヤ人の乳児で肝脾腫と急速に進行する神経症状を示した最初の例を報告しました。1934年クレンク博士が蓄積物質をスフィンゴミエリンと同定し、さらに1966年ブラディ博士が患者組織で酸性スフィンゴミエリナーゼが欠損していることを示しました。

2.遺伝形式

常染色体劣性遺伝形式です。

3.分類

神経症状を合併するA型、神経症状のないB型に分けられます。A型とB型の違いを症状、所見、検査値などから分類すると図のようになります。

  A型 B型
発症(診断)時期 乳児期早期 幼児期/青年期
神経退行 +
眼底(チェリー・レッドスポット) 50% <10%
肝脾腫 + +
骨髄(ニーマンピック細胞) + +
肺浸潤 +/− +
予後 2〜3才 幼児期/成人
酸性スフィンゴミエリナーゼ活性 <5% <10%

4.人種差

ユダヤ人では頻度が高くA型の頻度が高いのが特徴です。日本人を含む非ユダヤ人では稀にしかみられず、B型が多くを占めます。

5.症状

A型では酵素診断で著明な酸性スフィンゴミエリナーゼ活性の低下(<5%)を示します。乳児期早期に肝脾腫が著明となり筋緊張低下・筋力低下から哺乳障害が出現しさらに嘔吐が出現します。6ヶ月以降、運動発達遅滞が明らかとなります。神経症状が進行すると痙縮と固縮が著明となります。
B型では酸性スフィンゴミエリナーゼ活性の低下を示しますが比較的高い残存活性(<10%)を示す場合が多いのが特徴です。A型が比較的一定の臨床症状を示すのに対してB型は多様性を示します。肝脾腫が発見のきっかけであることが多く、発見時はすでに肺浸潤をX線上認めることがほとんどです。肺障害は肺拡散障害といわれ年齢とともに進行します。肝障害が進行すると肝硬変となり門脈圧亢進から腹水が出現することもあります。脾機能亢進により汎血球減少をきたす場合もあります。神経症状がなくて神経組織の一部である眼底にチェリー・レッドスポットといる網膜変性がみられA型とB型の移行型も報告されています。

6.診断

A型においては眼底検査で約半数にチェリー・レッドスポットを認めます。骨髄中に泡沫細胞(ニーマンピック細胞)を認めるのが特徴で診断に有用です。これらの検査でニーマンピック病が疑われた場合には培養皮膚線維芽細胞を用いた酸性スフィンゴミエリナーゼの酵素診断が確定診断となります。酵素診断に続き遺伝子解析も現在可能です。

7.治療

本症に対して骨髄移植が試みられていますが、A型では肝脾腫の改善などはみられますが中枢神経には無効であるとされています。B型では骨髄移植後に肝脾腫大の縮小や肝臓内のスフィンゴミエリンの減少などが観察されています。しかし残念ながら骨髄移植の有効性に関するはっきりとしたエビデンスはまだありません。本症に対する酸素補充療法が開発され、現在、欧米を中心に臨床試験(第1相試験)が行われています。B型の患者さんに対する有力な治療として期待されています。

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